TakeOver

TakeOver 3

投稿日:2020年3月22日 更新日:

転職して数週間、喜代野屋の問題点が見えてきた、まず客室70ほどの旅館に従業員が多すぎるのだ社長の家族が営業と経理・フロントに5人、事務方(経理)1人、フロント4人(1人は設備兼任)調理長1名調理師4人調理補助2人仲居さんと呼ばれる客室係11人、他に床敷さんとよばれる客室のベットメイク専門のパートさん4~6人とまあこのくらいの人がオフシーズンでも働いていた、ピークシーズンになると更に人数が増える。 レストランを持っていなかったので個人客の夕食は部屋に運んでいたので仲居さんの数もこのくらい必要になっていたようだ。このころの旅館の働き方は分業が当たり前だったので客室の清掃についても専門の会社に外注していた。稼働率が90%を超えるようなシーズンならまだしもオフシーズンでもこの状態だったから推して知るべしである


客室の改装も久しく行われていないようで、お金を出して泊まるには少し古めかしい感じがしていた。地ビール事業を始めるにあたり効率をあげるためレストランスペースを作り個人客はそこに来て食事を取ってもらう形に改めようと計画に盛り込むことになった。

喜代野屋は温泉旅館なので大浴場があった、こちらも改装が行われていないようで古臭く感じた仕切りの全くないカランが並んでいるので何か別の施設のようだった、タイルの上や浴槽の縁と湯口には温泉の泉質のせいで白く厚く固まっていたが、これはこれでなかなかの風情があった。客室の風呂は温泉成分が固着しやすいので大抵の温泉宿では水道水を沸かした湯を配管してると思うが、喜代野屋では温泉を客室にも配管していた、やはりこれは問題を起こしていて、浴槽に温泉成分の水垢を固着させていた。

と、数週間で転職を失敗したかなと思い始めていた。

-TakeOver

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

TakeOver 5

ビール事業の要素は装置とレシピと税金からなっていると考えていて、装置と建物の概要は概ねできていた、銀行とのやり取りは上野社長がしていたので私にはなんともならなかった、さらに税務署との事前相談のため何度 …

TakeOver 4

気をとり直して、日々の業務を過ごすしかない、社長と相談して問題点をひとつひとつ潰していくことになった、清掃業者のパートさんの”綺麗”とお客様の”綺麗”の基準が違いすぎるようで、汚れやホコリが目立つとこ …

TakeOver 1

「3億4千万ですか、チョット少ないけれど何とかなるかも知れませんね。」数回訪れてミーティングを重ねたその建設コンサルタント社長は呟いた。その時同席していた私はそれが何の意味なのか理解できなかった。 老 …

TakeOver 2

新規事業として地ビール醸造に乗り出すにあたり、近場の地ビール工場を見学に出かけた、一つ目は味噌/醤油を作っていた会社が始めた地ビール、醸造所のノウハウは流石にお持ちだからお手の物らしいが飲んだあと口に …

TakeOver 6

露天風呂、客室露天風呂の設計が固まって建設が始まった、露天風呂は20畳ほどのサイズの男女別露天風呂、それとは別に個室露天風呂が4室あって、川沿いの細い道にむかっているので杉板の塀で囲まれていた。湯量の …

2020/03/26

TakeOver 6

2020/03/22

TakeOver 5

2020/03/22

TakeOver 4

2020/03/22

TakeOver 3

2020/03/22

TakeOver 2