新規事業として地ビール醸造に乗り出すにあたり、近場の地ビール工場を見学に出かけた、一つ目は味噌/醤油を作っていた会社が始めた地ビール、醸造所のノウハウは流石にお持ちだからお手の物らしいが飲んだあと口に何となく味噌っぽい香りがするのは気のせいか、味噌麹が混入したのかそんな味がした。1週間ほどして次は行きたい観光地NO1を長年獲得している温泉街のはずれに有る地ビールレストラン、年間の来客数が8万人を超えるらしくかなり洗練されている、社長が熱く語っていた見せる醸造場だ、客動線の廊下にガラス張りの醸造場が見えている、大きな醸造タンクが4本、これで年間の何回醸造しているのかは聞けなかったが多くの来客者に提供するだけの量は確保できるのでしょう。
そうこうしてると県庁所在地の駅前に「駅前ビール」などと言って地ビールレストランがオープンした、早速見学に出かけた、こちらは最小限の醸造施設でタンクも2本だけ、レストラン来客向けと一部樽詰で繁華街の飲食店にも卸していると聞いた、「コレコレ、この規模で良いのよ」と社長、「小さく初めて足りなくなればタンクを増やせるようにレイアウト考えよう。」なかなか堅実である。が、しかしここには酒造免許の壁がある、ビール(麦芽比率2/3以上)の最低醸造見込み数量年間60kl 、一般的にビールと言われる飲み物を製造するなら60klを製造して捌かなければならないのだ、2klタンクで30回、毎月2.5本作って販売する事になる、月間5klだ中ジョッキ500ml換算で10,000杯である、350缶換算で14285本24本入りカートンで595箱だ。(缶ラインはかなり大きい初期投資になるので、缶ライン作ろうとはサラサラ考えない、製品の最終形態は10ℓもしくは20ℓの樽詰め、あるいは比較的簡単にできる瓶詰めで打栓機を使う)。今の喜代野屋の客室数/客数ではとてもこなせそうにない、”ビール”を製造した場合は近隣の旅館や居酒屋/バーなどに卸して販売協力をお願いしなければならなくなるのは容易に想像出来る。一方発砲酒(麦芽比率2/3未満)の場合を考えると、最低醸造見込み数量年間6kl(駅前ビールもこのタイプ発泡酒だ)、月間500L 中ジョッキ500ml換算で1,000杯、喜代野屋の事業規模ではこの量ならなんとか販売できそうであった。この計算には落とし穴があって、ビールの消費量には当然ながら季節要因がある、夏場の4ヶ月(6~9月)で年間消費の半分ぐらいが消費されるのが定説で、このピークに欠品を起こさない量を生産できる設備にしなければならない、3klを4ヶ月で製造保管できるプラントを構築する方向で話が進んで行った。
☆コラム☆
ここで酒税について
酒税は出荷時に課税される、出荷時点で課税ということは売り切らなくてもかかるということで、最低醸造見込みの量が決まっているので、 当時の税額では以下のようになる。
・ビール酒税 220,000/kl 年間60kl 13,200,000円
・発泡酒酒税 83,300/kl 年間. 6kl 499,800円
今後段階的に税額が変更されてビールと発泡酒、その他の発泡酒類の区別なく同じ税額になるが、方向性としてはビールは減税、発泡酒・その他の発泡酒共に増税となる。